オーガニックはなぜ環境に良いのか?その理由を解説します!
投稿者: uchiage 投稿日:
皆さん、こんにちは!株式会社UCHIAGE広報室の柳瀬です。
以前の記事ではオーガニックとSDGsの関係について解説しました。オーガニックであろうとする製法や、そこから派生したエシカル・フェアトレードといった活動が、SDGsの目的である持続可能な世界の実現に貢献しているというものでした。
このオーガニックとSDGsの関係を話す中で、もう一つ切っても切り離せないのが環境問題です。オーガニックは環境に優しいと話されることは多いのですが、なぜなのかという点については意外と知られていないように思います。
今回は、そんなオーガニックと環境問題について、有機農業(有機栽培)と、オーガニック製品の2つの観点から解説していきます。
有機農業と環境の関係
コーデックス委員会 *1において、有機農業は「生物の多様性、生物的循環及び土壌の生物活性等、農業生態系の健全性を促進し強化する全体的な生産管理システムである」とされています。
また、日本では、平成18年度に策定された「有機農業推進法」により、有機農業は以下のように定義されています。
「有機農業の推進に関する法律」による有機農業の定義は以下のとおりです。
1.化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない
2.遺伝子組換え技術を利用しない
3.農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減する
農業生産の方法を用いて行われる農業です。
有機農業が環境に与える良い影響にはどのようなものがあるでしょうか。これは大きく3つの効果が期待できます。
1つ目は生物の多様性に関する効果です。慣行農業における農薬や化学肥料は、大量生産を安定させる代わりに、土壌の生物や必要な植物にまで影響を与えます。一方の有機農業においては、農地や園周辺における生物多様性が保全されたと報告されています*2。
2つ目は、土壌の地力を向上させる効果です。根の良好な生長を助ける物理性・肥料の保持力や供給力等に係わる化学性、微生物による土壌中の有機物の分解等に関わる生物性の3つを向上させることが期待できます*3。
3つ目は地球温暖化の抑制効果です。有機農業に使われる堆肥や有機質肥料は、土壌有機炭素として土壌に貯留されます。これが温室効果ガスである二酸化炭素の基となる炭素を地中に吸収するためです*4,5。
このように、有機農業を進めることは、地球環境を保全し、持続可能な世界の実現に貢献しているといえます。
オーガニック製品と環境の関係
ここでは、天然由来の物で作られた製品のことをオーガニック製品と呼びます。オーガニック製品の代表的なカテゴリは、オーガニック食品や、化粧品、日用品などです。
オーガニック食品
オーガニック食品は環境への負荷をできる限り少なくする方法で生産された食品です*6。日本においては、厳しい基準をクリアした食品のみが有機JASマークをつけ、「有機」や「オーガニック」と表示することができます。
有機JASは、「有機農産物」「有機加工食品」「有機畜産物」「有機飼料」「有機藻類」「有機酒類*7」の6つにしか対応していない*8ため、それ以外の製品については別の認証を受ける必要があります。
有機農業が環境によい影響を与えていることから、それによって生産されたオーガニック食品も、同様に環境に良いと言えます。
オーガニック化粧品
食品と異なり、日本においてオーガニック化粧品を認証する機関はありません。そのため、オーガニック化粧品をうたう多くの製品は、COSMOS認証や、ネイトゥルー認証など、海外のオーガニック認証機関を利用しています。
例えば「ネイトゥルー認証」の場合、認証を受けた化粧品は以下のことが保証されます。
ナチュラルおよびオーガニックな成分が配合されています
許可されている製造段階での制限が守られています
環境にやさしい製造方法がとられています
合成香料および合成色素は配合されていません
石油系原料(パラフィン、PEG、プロピル系、アルキル系、その他の石油誘導体等)は含まれていません
シリコンオイルやその誘導体は含まれていません
遺伝子組み換え植物あるいは有機体からの原料は含まれていません(EU の有機農法規格による)
製品や植物性成分には放射線処理が施されていません
動物実験は行われていません
環境にやさしい製造方法が取られていること、また石油系原料による環境汚染の心配もないことから、製造及び消費のどちらの観点からも地球環境に優しい製品であるといえます。
オーガニック日用品
オーガニック化粧品同様、オーガニック日用品について、日本における認証機関はなく、海外のオーガニック認証を取得することが一般的です。代表的なものはイギリスの「SOIL ASSOCIATION」、イタリアの「ICEA」などです。
例えば「ICEA認証」を受けた製品は、以下のことが保証されます。
・自然由来成分が95%以上
・石油由来成分の使用不可
・遺伝子組み換えの原料の使用不可
・動物由来原料の使用不可
・動物実験の禁止
オーガニック化粧品と同様に、自然由来の成分を用い、石油由来成分を使わないことで、環境にやさしい製品を実現しています。
最後に
今回の記事では、オーガニックと環境問題の関係について解説しました。
オーガニックと一口に言っても、その裏側には様々な取り組みや、環境への配慮がなされています。そして、一つ一つの地道な取り組みが、持続可能な世界の実現に貢献をしています。
またオーガニックに対する取り組みは年々増加してきており、昔に比べてその品質も良くなってきています。
今まで手に取ったことが無いという方も、ぜひ一度手にとって体感してみてはいかがでしょうか。
脚注
*1: FAO(Food and Agriculture Organization、国際連合食糧農業機関)及びWHO(World Health Organization、世界保健機関)により設置された国際的な政府間機関
*2: (研究成果) 有機・農薬節減栽培と生物多様性の関係を解明 | 農研機構
*3: 農地土壌を巡る事情 (令和4年4月) | 農林水産省
*4: 環境保全型農業をめぐる事情(平成27年1月) | 農林水産省
*5: 未来へつなぐ環境にやさしい農業の取組が成果を上げています | 農林水産省
*7: 令和4年10月1日の法改正により追加
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